日用美品

山本忠臣 - ギャラリーやまほん

ダイニングチェア

自宅を新築した時に家族6人分の椅子を新調しました。6脚の椅子は高価でしたが木製家具は手を入れてあげると生涯使うことができるので、思いきって購入しました。まだ5,6年くらいですが、毎日使うとあってすでに飴色となり、艶も出てきました。またこの椅子にはいつの日か子供と共に巣立ってもらえるようにと染織家、望月通陽さんにそれぞれの名前を刻んでいただきました。年を重ねると共に美しく育つ家具のように育ってもらいたいという想いも込めて。

ラグマット

季節で衣替えをするように初夏にはリビングのラグマットも敷き替えます。GABBEH(ガベ)と呼ばれるこの敷物は南イランの敷物で、遊牧民が羊の毛を手で紡ぎ、草木で染めて手で織りながら作っていきます。我が家では冬は大きく厚い敷物を使い、夏には小さく薄くなったこのオールドガベを使っています。毎年、このカラフルな色使いとシンプルな文様の敷物に敷き替えると家族に季節の変わり目を教えます。

南鐐自在鉤

近年は床の間などの一見、無駄に思えるスペースを作らない家が増えているようですが、自由に飾ることのできる融通無碍なところが好きで、小さな床の間を自宅に設けています。床の間に必需備品となるのが掛け軸の高さを調整するためのこの自在鉤。軸の長さはそれぞれに違いますので、それぞれの軸に合わせてこの自在鉤で調節します。この自在鉤は名古屋の金工家、長谷川清吉さんのもので蝉の装飾が楽しい。床の間を使う私にとっての日用美品。


山本忠臣 - ギャラリスト・建築家

1974年 三重県伊賀市生まれ。2000年伊賀市に工芸作家の発表の場として「gallery yamahon」を開廊する。
2011年には若手工芸家の発表場として京都に「うつわ京都やまほん」を開廊する。
物と時間の関係性を考え、商業施設や住宅などの建築設計を行う「やまほん設計室」を主催する。