工芸のウチ.ソト

三谷龍二 - 10cm

ソト ギャラリー10cm 立体作品 木 アクリル絵具

店を持つことは、仕事場から一歩外へ出て、社会に向けて自分を開くことだった。JAZZ喫茶や街のポスターなどの大衆文化から多くのものを学んだと思う僕は、具体的な建物と場所をもち、街の誰にでも開かれていて、店主の生き方のセンスのようなものを伝えることができる店という存在が好きなのだと思う。

ウチ 本

毎日使う器は、使う人の暮らしに溶け込むようでありたいと思う。だから作家性を出すことよりも、普通であることが大切だ。それでも、普通と、退屈とは違う。僕にとって本を作ることは、器の背後にある世界性を伝えたいと思うからだ。

ソト 顔料

器作りの合間に、絵を描いている。もう長い間そうしているから、僕のなかではあまり隔たりはないのだけれど、外から見れば、工芸と絵画は随分と違う分野になるだろう。漆芸では白や朱の顔料は使うが、その他の色を使うことは、まずない。色にも工芸のウチ・ソトがあるのだった。

ウチ 白漆片口 大 小

外国へ行って思うことは、日本の家庭ほど多様な食器を使う国は他にないということだ。中国の家庭では。洋食を作ることは少ないというし、外食の頻度も多いようだ。それに比べて日本の家では和洋中を組み合わせて楽しむから、当然、食器の種類も多くなる。もしもこんな食生活が世界に広がれば、器も自然に世界に必要とされるようになるだろう。

ウチ 木の見本「日本の森」

日本は、国土の3分の2が森林に覆われている。桜、楡、胡桃、栗。そうした木に長い間触れてきたためだろう、今では手のひらのウチに、身体感覚のウチに、木のかたさや重さ、あるいは温かさや柔らかさが、入っているように思う。


三谷龍二 木工デザイナー

1952年 福井市生まれ 1981年 松本市にPERSONA STUDIOを開設
普段使いの食器として木の器を作り始め、家具中心だった木工の世界を変える。個展多数。その他絵画、立体作品、装丁の仕事がある。
2011年 松本市内に自身のギャラリー「10cm」を開設。作品作りと並行して、クラフトフェア、六九クラフトストリートなど、
工芸と暮らしを結ぶ活動を続ける。著書「木の匙」「僕の生活散歩」(新潮社)「遠くの町と手と仕事」(アノニマ•スタジオ)
「器の履歴書」(アトリエ・ヴィ)「日々の道具帖」(講談社)など。


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