工芸のウチ.ソト

森岡督行 - 森岡書店

ウチ 『工藝の道』ぐろりあそさえて 昭和3年

本書には、「心は浄土に誘われながら、身は現世に繋がれている」とした後、「地上に咲く浄き蓮華を浄土の花とは呼ぶのである。地に咲けよと天から贈られたその花の一つを、今し工藝と私は呼ぼう」とあります。柳宗悦の独自な考え方ですが、工藝のウチ側はに、浄土からの贈られた花があるという見解だと思いました。

工藝の道

ソト 『美の法門』日本民芸協会 昭和24年

工藝が浄土からの贈られた花であるなら、それを柳宗悦が自らの言葉で解釈し、思想としてソトに放出・出版したのが『美の法門』だと思います。その意味において、本書は工藝のソトにあたると思いました。


森岡督行

1974年生まれ。株式会社森岡書店代表。
著書に『荒野の古本屋』(晶文社)、『本と店主』(誠文堂新光社)等がある。
『工芸青花』、『芸術新潮』を始めとする媒体にて連載・執筆を行っている。
現在、21_21 DESIGN SIGHTにて開催されている「雑貨展」にブースを出展中。
株式会社森岡書店の取り組みとビジュアル・デザインが、ドイツのiFデザイン賞とイギリスのD&AD賞を受賞した。
『工芸青花』編集委員。